じゅん☆ブログ

大雪山系旭岳 吹の湯【道北】
旭岳 吹きの湯
前回紹介した「天女の湯」から数十メートル離れた別な沢に「吹の湯(ふきのゆ)」があります。ただ、雪が融けてくると藪が出てくるので、辿り着くには少しだけ藪漕ぎが必要でした。身を低くして藪のトンネルを進んで行きます。微かに獣道のような跡があるのですが、野性の勘が必要かもしれません。凄まじい藪を抜けると目の前にこんな光景が広がっていました。新緑に鮮やかな青空、こんな吹の湯はなかなか見られないかもしれませんね。
未利用泉源
噴泉塔のようになっている丘を登ってみると、大自然の中に不釣り合いな人工物がありました。マンホールのような土管が2つあります。この集湯設備は東川町が勇駒別温泉(現在の旭岳温泉)の予備泉源として整備したものなのですが、現在は未利用とのコトでした。かつては矢沢温泉と呼ばれ浴用利用していた時代もあったようです。
見事な造形
その源泉集湯槽から溢れ出した温泉が年月をかけて堆積し、オレンジ色の見事な造形となっていました。その湯流れは下を流れるユコマンベツ沢(温泉沢)へと注がれています。付近には配管のようなモノも残されていました。
湯温計測(その1)
流れているお湯の温度を計ってみると50℃もありました。資料によると付近には30近くの泉源が存在していて、40℃から50℃の温泉が自然湧出しているようです。
湯船A
未利用泉源から湧き出した温泉がユコマンベツ沢へと注がれ、その一部分が湯船状のくぼみになっていました。山奥で人知れず湧いている温泉というのは見ているだけでワクワクしますね。
湯温計測(その2)
湯船状になっている場所で湯温を計ってみると31℃でした。雪融け水がかなり流れ込んでいて湯温が低下しているようですね。冬だと入浴するにはちょっと厳しい湯温ですが、今回は気温が高くて天気の良い日だったので心地良さそうです。さっそく入浴してみるコトにしましょう。
入浴♪(その1)
さっそく入浴してみました。この写真の上部に脱衣するのに手頃な岩があったので利用させていただきました。入浴してみると、やはりぬるい感じでしたが、それがまた気持ち良かったりします。かなり気温の高い日だったので感動的な入浴となりました。
入浴♪(その2)
ある資料によると吹の湯は浅い場所が多くて、足湯程度しかできないと記されていたのですが、いつしかこんなに見事な湯溜まりができていたのですね。深さも十分にあり余裕で全身浴できます。かなり満足できる湯船でした。
湯船B
数メートル上流にも入浴できそうな湯溜まりがありました。先ほどの湯船より浅い感じなのですが、こちらの湯船にも温泉が豪快に流れ込んでいます。こちらの湯船も体感してみなければいけませんね。
入浴♪(その3)
スッポンポンのまま移動してきて入浴してみました。源泉槽から流れてくる温泉の湯温は50℃くらいあるのですが、上流から流れてくる沢の水量が多いので、湯船の湯温は20℃から25℃くらいになっています。ちょっと低温な湯船ですが、冷たくて気持ちの良い感じでした。
入浴♪(その4)
ちょうど座りながら浸かるのに良さそうな場所がありました。暖かい日差しを浴びながら誰も居ない秘湯を楽しむというのも贅沢ですね。苦労して来た甲斐がありました。
ロープウェイが!
丘へ上がり排湯パイプに腰掛けて日光浴していると、向こうに赤いロープウェイが見えました。こちらから見えるというコトは、向こうからも見えているのかな? もしも双眼鏡で見ている人がいたら驚いているコトでしょうね(笑) ロープウェイのところに見えている鉄塔は第3鉄塔です。帰りはあそこまで戻らないといけないんだなぁ・・・。
上流の湧出孔群
十分に入浴を楽しんだので服を着て、さらに上流にある源泉湧出孔群を探索してみました。あちこちの崖から温泉が流れ出して、見事なオレンジ色の湯流れができています。写真の場所なんかは入浴できそうな湯溜まりができていて魅力的でしたが、さすがに入浴するとなると周りがドロドロなので結構大変です。今回は手湯のみとしておきましたが、もし挑戦するとなれば、吹の湯からハダカで靴だけ履いて登ってきて、入浴後はそのまま吹の湯へ戻るというのが一番良いかな?とかイメージトレーニングしていたりして・・・(笑) 他にも謎のパイプから温泉が流れているような場所もあって、興味深い源泉地帯となっていました。
吹の湯全景
ホントはそのまま沢を遡行して第3鉄塔まで戻ろうかと思っていたのですが、沢が結構険しくなってきたので吹の湯まで戻り、来たルートを辿って第3鉄塔まで戻るコトにしました。再度、吹の湯の光景を目に焼き付けておきます。そうそう頻繁に来られる場所じゃないですからね・・・。吹の湯と天女の湯のある源泉地帯を総称して旭の湯と呼んでいたのですが、現在、旭岳の旭の湯と言っても知らない人の方が多いでしょう。人々の記憶から消えて行く場所にこそ「本物の秘湯」はあるのかもしれません。

★吹の湯(ふきのゆ)
 場所 : 北海道上川郡東川町勇駒別
 料金 : 無料
 営業 : 24時間
 休業 : 年中無休
 泉質 : 含芒硝重炭酸土類泉(中性低張性高温泉)
 成分 : 成分総計1,188ミリグラム(Ca・Mg・Na-SO4・Cl・HCO3)
 泉源 : 自然湧出(旭の湯B)
 備考 : ヒグマ出没注意・遭難注意・要装備
 感想 : ★★★★★

  
2010/06/20 19:00 | Trackback (1) | Comment (14)